大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所 昭和52年(わ)143号 判決

本籍

千葉県松戸市上本郷二、八二五番地の一

住居

同県松戸市上本郷二、七八七番地

不動産取引業

小沢暁民

昭和一五年一一月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官上田廣一出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月及び罰金七〇〇万円に処する。

本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人が右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、千葉県松戸市北松戸二丁目一六番地の六に事務所を置き、「松戸総合開発」の名称で不動産売買及びその仲介等を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、別紙脱税額計算書記載のとおり、昭和四八年分の実際の所得金額が六七、四二八、八六〇円であったにもかかわらず、昭和四九年三月一五日、同県松戸市大字小根本字宮久保五三番地の三所在の所轄松戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四、三三〇、五〇四円でこれに対する所得税額が五、〇四六、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により同年分の正規の所得税額三八、七二九、三〇〇円との差額三三、六八三、一〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の

(イ)  当公判廷における供述

(ロ)  検察官に対する各供述調書(四通)

(ハ)  大蔵事務官に対する各供述調書(八通)

一  被告人外一名作成にかかる各申述書(四通)

一  検察官に対する束木原一彦の供述調書

一  大蔵事務官に対する束木原一彦、泉満子(二通)の各供述調書

一  大蔵事務官作成の「物件別取引調査明細書」、「昭和四八年分受取手数料調査書」、「一般管理費(公租公課)調査書」、「一般管理費調査書(工事費)」「一般管理費調査書(広告宣伝費)」、「一般管理費調査書(交際費)」、「一般管理費調査書(支払手数料)」、「四八年分給料報酬調査書」、「一般管理費調査書(雑費)」、、「支払利息合計調査書(四八年分)」、「未経過利息調査書」、「定期積金各年末残高及び給付補填備金、預金利息調査書」、「定期積金調査書」(二通)、「課税の特例(土地重課)調査書」と題する各書面

一  検察事務官作成の報告書(証拠物の写作成について)

一  国分栄作成の「譲渡資産の照会に対する回答」と題する書面

一  井上正二作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  毛呂寛作成の証明書(抄本)

一  柴野芳夫作成の証明書

一  押収してある所得税確定申告書(一袋)、総勘定元帳一冊(昭和五二年押第一二一号の一、二)

(法令の適用)

被告人の判示所為は所得税法二三八条第一項、一二〇条一項三号に該当するので、懲役刑及び罰金刑を併科することとし、その所定刑期及び所定罰金額の範囲内で処断すべきところ、犯情に照らし、同法二三八条二項によりその罰金額については、免れた所得税の額三三、六八三、一〇〇円に相当する金額の範囲内で処断すべく、右刑期及び罰金額の範囲内で、被告人を懲役六月及び罰金七〇〇万円に処し、なお情状により刑法二五条一項一号を適用して、右懲役刑については本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、同法一八条により被告人が右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間労役場に留置する。

そこで、主文のとおり判決する。

(裁判官 荒木勝己)

別紙

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例